liquid-phaseのブログ

足湯で疲れをふっとばす(鉄板激うまギャグ)

蒸気噴出孔の利用 拗らせた人向けの無電力タイプ

Oxygen Not Includedにおいて水は「植物の育成」「酸素の生成」「油井での原油の採掘」にと様々な場面に必要な重要な資源です。そして持続的な水を入手する手段として最もポピュラーな方法が蒸気噴出孔の利用になります。

 

蒸気噴出孔から噴出された蒸気を何らかの手段で冷却し、蒸気を凝固させることにより水を得ることができます。一般的には液体クーラーと蒸気タービンの組み合わせにより熱破壊を行いこれを達成します。

 

今回の記事で紹介するものは徹底的に省電力を突き詰めた結果、超冷却水や断熱材、チューニングも不要で無電力での蒸気を水に変える構成。無電力どころか蒸気の噴出量に伴って40W~100Wの発電が出来る設備になります。液体クーラーも使いません。

 

<押さえておきたいツボ>

蒸気タービンの仕様

蒸気タービンの仕組みを細かく理解する必要があります。基本的な動作としては

A.蒸気タービンには5つの吸気口が持っており、吸引量は1つ当たり400g/s

B.吸気口から蒸気を吸い出し、95℃の水へ変換し排出する

C.蒸気から水へと変換した際に減った熱量に応じて電力を生み出す

D.蒸気タービンの発熱は蒸気タービンが回っている限りかかる固定の発熱量4kDTU/sに加えて蒸気を水に変換した際に減った熱量の1/10が蒸気タービンの発熱に加わる

E.動作に必要な蒸気の最低温度は125℃

 

蒸気噴出孔の蒸気は110℃のため、上記のEの条件により、そのままでは蒸気タービンを動作させることが出来ません。

この「動作に必要な蒸気の最低温度は125℃」というのを細かく見てみると

「5つある吸気口の内1つが125℃を満たしていれば動作をする」

という仕様になっています。この仕様を利用したのがSaturnus氏発案のスプリットタイプの蒸気タービン(公式フォーラム)。ボイラー室を意図的に2つの部屋に分けて、二つの異なる温度帯の蒸気を扱えるというところがポイントです。公式フォーラムの構成は任意の気体を125℃未満まで冷却する形になっています。

<スプリットモデルの構築例>

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今回の狙いは「1つの吸気口が吸う蒸気が125℃を満たしていれば残りの吸気口が吸う蒸気は125℃以下で問題ない」というこの仕様を利用し、蒸気噴出孔の110℃の蒸気をそのまま吸ってしまおうというものになります。
これを素直に実現しようとすると下記のような構築になります。

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①125℃以上という条件を満たすために高温側のボイラー室内に液体クーラーを設置し、指定温度になるまでは液体クーラーの動作ON

②タービンの排水をそのまま高温側のボイラー室に戻しているとどんどん圧力が増えてしまうので、気圧センサーで排水溝を制御

③液体クーラーに使っている触媒の凍結を防ぐためにパイプ内温度センサーで液体クーラーを制御

この3つの制御をすることにより蒸気噴出孔の蒸気をそのまま吸えるようになります。

しかしこの構成では2つの課題があります。

「持続的に液体クーラーで熱を奪う対象が必要」「液体クーラーを動かす電力が必要」

 

持続的な熱源というのは蒸気タービンから排出される95℃の水を利用すればいいのですが、その熱を移すために電力はやはり必要になってしまいます。

これをなんとかならないかと模索するために、「1つの吸気口が吸う蒸気が125℃を満たしていれば残りの吸気口が吸う蒸気は125℃以下で問題ない」というこの条件に着目します。

感覚的に「蒸気タービンを動作させるには十分な蒸気の量を吸引させねばならない」という意識があるで気づき辛いのですが、「1つの吸気口が吸う蒸気が125℃を満たしていれば・・・」の部分、実は吸気量は関係ないのです。つまり1つの吸気口が吸う蒸気は125℃を満たしていれば、その吸気量は0.1gでも問題ない」のです。

蒸気タービンの十分な吸気量、つまり蒸気タービンの1つの吸気口の吸気量である400g/sの水を95℃から125℃まで加熱していました。

量 x 比熱 x 温度差=400x4.179x(125-95)=50,148[DTU/s]=約50[KDTU/s]

これだけの熱量が必要だったわけです。これが0.1g/sの水を同様に加熱するとなると

量 x 比熱 x 温度差=0.1x4.179x(125-95)=12.537[DTU/s]=約0.012[KDTU/s]

比較的発熱量の少ないスマートバッテリーの発熱量は0.5[KDTU/s]。十分間に合うほど必要な熱量は小さいことが分かります。加熱する対象の質量がものすごく小さいので125度の蒸気を作るのに必要な熱量も物凄く少なく済むのです。もはや液体クーラーは必要ありません。スマートバッテリーを熱源として利用出来てしまいます。

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なかなか見かけない状態になりましたが、これで「持続的に液体クーラーで熱を奪う対象が必要」「液体クーラーを動かす電力が必要」というボトルネックを解決出来ました。

 

あとはその他の制御を組み込んでガンガン拗らせていき、完成したものが下記になります。

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下記のような状況で使うこじらせた人向けのもの。

・電力を維持でも使いたくない

・設備仕様の穴を突きたい

・セットアップに凄く手間がかかっても構わない

 

メリット

・液体クーラーが必要なく建築コストが安い

(変圧器は1台でもいいので鋼鉄が200kg必要のみであり断熱系素材は火成岩でもOK)

・ランニング時の電力は省電力どころか無電力

・満足度が非常に高い

デメリット

・スペースがかなり必要

・セットアップに凄く手間がかかる

 

この設備に含まれているテクニック・方法は下記になります。

蒸気タービンの自己冷却

蒸気タービンは動作時に4KDTU/sの発熱に加え蒸気を水に変えた時に減った熱量の1/10を発熱します。無電力を目指すため、冷却に電力を使えないので蒸気タービンの排水を利用した自己冷却方式にします。蒸気タービンの自己冷却は140℃以下の蒸気であれば可能なので、今回は110℃の蒸気を扱うため十分な余裕があります。

 

圧力超過回避

蒸気噴出孔の圧力超過を防ぐ方法としてはガスエレベータでも可能ですが、わずかながら電力を必要とするため、無電力を目指すためにmathmanican氏考案の斜めポンプを利用します。液体の上に別の少量の液体をポタポタ垂らすだけ。画像では100gの原油の上に0.1g/sの水を垂らしています。

これでどのような噴出量の蒸気噴出孔でも対応できます。画像では6つの排水溝を設置していますが、噴出量によって減らすことが可能です。排水溝の配置によっても吸気量は変わるので色々試してみてください。感覚的には噴出量3kg/s前後では2つ、6kg前後では左右に2つずつ、8kg/s以上では全体で6つ必要です。

また斜めポンプを利用するにあたり、タービンの排水を利用し、ポンプに必要な電力をなくすことが出来ます。

 

 

熱源

熱源はスマートバッテリーでは電力漏洩があるため、実質的にはわずかに電力を消費するため、変更の必要があります。着目したのは変圧器。変圧器はバッテリーと異なり、動作時に電力漏洩をしません。持続的に無電力で熱源を得られます。しかし変圧器は自動化などで動作OFF時には電力漏洩をするという仕様があるので、別の場所に大型変圧器を用意し、加熱が必要ないときはそちらに電力を移します。制御としては温度センサーとメモリスイッチを利用し、ボイラー室内が180度まで温められたら電力を外部に移し、150まで下がったら再び発電機で加熱する仕組みにしています。また蒸気が十分に温められるようにボイラー室内には熱交換プレートも配置しましょう。

そしてボイラー室の外部に設置した今度は大型変圧器の冷却が必要です。蒸気タービンの排水でこれを解決させます。そのまま蒸気タービンの排水を利用して水を外部へ送る構成では、蒸気タービンの非動作時では排水がなくなり、冷却が出来なくなってしまうので、蒸気タービンの排水を液体貯蔵庫にバッファし、これを巡回させることにより持続的な冷却を行います。巡回させる水と蒸気タービンの排水を混ぜ、液体貯蔵庫の容量を超える分を設備の外部へ搬出する形により、絶えず加熱される状態を防ぎ、設備全体の冷却が行われます。

(画像で変圧器が2台あるのはスペースが余ったので配置しているだけで1台でOK)

 

休眠期の回避

上記の熱源の項目にも少し書きましたが、冷却は蒸気タービンの排水にて冷却を行っており、斜めポンプの水も排水を利用している構成になるので休眠期が課題になります。液体貯蔵庫により5t分のバッファは持たせていますが、やはり備えあれば憂い無し。これを解決するために、噴出量に合わせ機械式ドアで吸気量を制御します。活動期に蒸気をため込み、休眠期も蒸気タービンを動作させる状態にし、実質的に休眠期がない状態を作り出しています。

 

ボイラー室の圧力超過回避

設備全体として蒸気噴出孔の噴出量を上回る量で蒸気を吸気できないといずれはボイラー室の圧力が限界を迎え、水を最大限得られなくなってしまいます。仕組みとしては蒸気タービンは1台で問題ないのですが、蒸気タービンで蒸気噴出孔の蒸気噴出孔の蒸気を吸っているのは吸気口3つ分、つまり1200g/sになります。蒸気噴出孔は休眠期を含めた平均噴出量は最大で2000g/sとなるので、すべての蒸気を吸いきるために蒸気タービンを2台にしています。蒸気噴出孔の平均噴出量が1200g/sの場合はタービン1台で問題ありません。

 

注意点

セットアップの面倒さ

セットアップは非常に大変です。

まずは排水溝や配管、機械式ドアによって噴出孔の蒸気だけでは蒸気が冷却されて水になってしまうことがあります。斜めポンプ用に配置した原油が洗い流されてしまうことになりかねません。そのためまずは一度部屋全体を130度程度まで温めた蒸気を満たすのをお勧めします。

そして125℃以上の蒸気を作るボイラー室部分は室内を160度前後まで温めるのが無難です。変圧器の発熱量は1kDTUと小さいために変圧器のみでは原油や温度センサー、熱交換プレートの温度を上げるのには何十サイクルも待つ必要が出てきてしまいます。

 

あとがき

省スペース化はまだまだ改善の余地がありますが、事故があった場合に備えてある程度の余裕を持たせてあります。縦横2マスくらいは小さくできるかな?

ここまでやってようやく無電力を達成したわけですが、簡単な構成で超冷却水を利用しチューニングを行えば電力はプラスになり、この設備はお役御免になってしまうのが悲しい所。