liquid-phaseのブログ

足湯で疲れをふっとばす(鉄板激うまギャグ)

過熱蒸気噴出孔の利用 逐次発電 蒸気直吸い型

過熱蒸気噴出孔は500℃の蒸気を噴出する間欠泉。噴出する物質が蒸気なので熱容量が4.179と大きいことに加え、温度も500℃と間欠泉の中でもトップクラスに大きい熱量を持っています。蒸気タービンで上手く飼いならすことが出来れば電力源として優秀であり、熱を発電に使い切った後も水としても利用できるので至れり尽くせりなあったら嬉しい間欠泉です。

しかしながら噴出する蒸気の温度が500度と高いことから、安易に利用しようとすると宇宙素材無しでは設備のオーバーヒート間違いなし。丁寧なアプローチが必要です。

 

この記事で紹介するのは

「発電タイミングの制御をして発電に利用してみたい」

「意地でも過熱蒸気噴出孔の蒸気を冷却しないで蒸気タービンで扱いたい

という人向けの中級者向けです。構成や注意点などを書きたいと思います。

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<動
作説明>

①間欠泉から蒸気噴出

②斜めポンプにて蒸気を吸い出す

③吸い出した蒸気をドアポンプで隔離

④蒸気タービンで発電+排水はボイラー室内の気圧センサーで流量を制御

⑤蒸気タービンの排熱を液体クーラーで奪い、ボイラー室で排水から蒸気を作成

 

メリット

・逐次発電に対応のため、電力使用状況に合わせて稼働できる

・省スペース且つ自動化がそこまで複雑ではない

・直接噴出された蒸気を吸うので噴出量に合わせての稼働率の計算がしやすい

・制御次第で鋼鉄不使用も可能

デメリット

・事故が起きた時の被害が甚大

 

<押さえておきたいツボ>

・蒸気タービンの扱える温度

蒸気タービンは蒸気を95℃の水に変え、その時に奪った熱量に比例した電力を生み出し、奪った熱量の1/10が蒸気タービンの発熱に加わります。算出式は下記。

 発電量(W)=85/21,000*M*(T-95)

 蒸気→水の変換で減る熱量(DTU/s)=4.179*M*(T-95)

 (M:吸気水蒸気質量=吸気口x400)(g/s) T:吸気水蒸気温度(℃) )

発電量は吸った蒸気が多いほど、そして吸った蒸気の温度が高いほど発電することが分かります。そしてこの発電量には上限があります。上限は850W。そしてこの発電量の上限を超えた場合、本来発電できるはずだった電力は発電されずに消滅してしまいます。非常にもったいない。よって蒸気タービンの発電量の上限を超えないように制御をするのが望ましいです。

どの程度までの温度の蒸気を扱えるか。上式の発電量に上限850Wを代入して吸気口の数ごとの温度を計算すると下記になります。

吸気口 最大出力に達する温度(℃) 吸気質量(g/s)
5 200 2000
4 227 1600
3 270 1200
2 358 800

(吸気口1つの場合は吸気量が不十分な為、十分な発電できないので省略)

吸気水蒸気質量(=吸気口の数)が少ないほど高い温度まで扱えることが分かります。

しかし間欠泉の噴出する蒸気の温度は500℃。吸気口2つで吸うには温度が高すぎて発電量の上限を越えてしまいます。更に吸気口の数を減らし吸気口1つにすると今度は吸気量不足になってしまい本来発電できる量の半分ほどしか発電出来ません。500度の蒸気を冷やすことなくロスなく発電は出来ないのか・・・?

何とかならないものかと発電量の算出式に注目。

発電量(W)=85/21,000*M*(T-95)

こちらの式なんですが細かく書くと

発電量(W)=85/21,000*{M1*(T1-95)M2*(T2-95)M3*(T3-95)+M4*(T4-95)M5*(T5-95)

M1~M5:それぞれの吸気口での蒸気の質量(g/s)

T1~M5:それぞれの吸気口での蒸気の温度(℃)

となります。重要なのは吸気口ごとに別々で計算されていてそれを合算しているということです。そのため発電時の動作や制限も下記のようになります。

①それぞれの吸気口ごとに熱破壊を行っていて合計の熱破壊量に応じた電力を生産している

②5つの吸気口での発電量の合計が850Wを超えるとそれ以上の電力は生産されず生産されるはずだった電力は消滅する

③吸気量は合計800g以上あれば正常に発電が行える

 

500℃1吸気では吸気量が足りず、500℃2吸気では熱破壊する量が多すぎる」という状況なのですが、仮に「500℃1吸気と125℃1吸気の2吸気体制の場合はどうなるか?

500℃の蒸気の吸気口:発電量=85/21,000*400*(500-95)=655W

125℃の蒸気の吸気口:発電量=85/21,000*400*(125-95)=49W

吸気量=2吸気x400g/s=800g/s

 

合計で約703Wなので発電量の上限である850Wを超えておらず、吸気量も800gなので正常に発電できます。

 

これを実現するためにSaturnus氏発案のスプリットタイプの蒸気タービン(公式フォーラム)を利用しています。ボイラー室を意図的に2つの部屋に分けて、二つの異なる温度帯の蒸気を扱うことが特徴です。

 

まとめますと「500℃の吸気口と別に低温のボイラー室を準備して吸気量の補助をすることにより、500℃の蒸気をそのまま扱うことが出来る」というのが今回のミソになります。

 

・圧力超過回避

逐次発電に対応するために蒸気は一時的に貯めこみそこから適宜抽出する構成が望ましいです。しかし過熱蒸気噴出孔には5kgで圧力超過となってしまう仕様があるので間欠泉とは別のスペースへの隔離が必要です。噴出量は低くても2kg前後あることから最大限の蒸気を得るには大量且つスムーズに隔離しなければなりません。噴出する蒸気は500℃ということもあり設備のオーバーヒートの問題にも注意が必要です。

気体の移送には様々な方法がありますが、それぞれ移送出来る量は異なるので噴出量に合わせた選択が必要です。構成にもよりますが、目安としては下記の通り。

吸気ポンプ

 インチキ度無。対応できる噴出量は500g×台数分

ドアポンプ

 インチキ度小。対応できる噴出量~4kg

ガスエレベータ

 インチキ度中。対応できる噴出量~8kg

斜めポンプ

 インチキ度大。対応できる噴出量はおそらく全対応(12kgまでは確認)

 

今回はmathmanican氏考案の斜めポンプを利用します。

ざっくり説明すると液体は10g未満では存在できないため、出現時に消失して真空になります。このときの真空が周りの気体と入れ替わるという現象を利用しています。液体が落下する位置に別の液体を置くことで気体の流れに方向性を持たせ吸い出した気体が逆流しないようにしています。

やり方は液体の上に別の少量の液体をポタポタ垂らすだけ。画像では100gの石油の上に流体バルブで流量を0.1g/sに絞った水を垂らしています。

吸い出せる量は排水溝の位置や数で異なり、画像の構成で大体6kg/sの噴出量の間欠泉まで対応できます。逆側にもシンメトリーで置けば12kg/sの間欠泉にも対応できます。

注意点としては非常に高いですが圧力限界があります。排水溝が1000kgまでしか対応できないのでそれ以上では液体が排出出来ないので吸い出せません。そのためドアポンプで吸い出した蒸気を更に隔離しています。

 

・稼働初期の低温側のボイラー室

低温側のボイラー室が温まった状態で初めて正常に発電が出来ます。稼働初期にボイラー室の温度が低いと当然排水をすぐに蒸気にできず、蒸気タービンの吸気量が足りなくなってしまいます。(動かないということではないが発電量が半減になる)

熱源は蒸気タービンの排熱を利用しており発熱量がそれほど大きいわけではないので、ボイラー室の熱容量や温度によって十分に温まるまでにものすごく時間がかかります。(仮に設備やバラまいている原油、循環させる水が30℃などの場合、10サイクル以上かかることも)

そのため液体クーラーで別のものから熱を移してボイラー室を140℃前後まで温めておいたり、循環させる水の余熱をしてから稼働することを推奨します。

(構成例で使用している温度センサーの制御はボイラー室がまだ水を蒸気化出来ない低温の時に排水をボイラー室へ入れないための制御です。130℃以上あれば必要ありません。)

 

・排水溝の自動化制御

特定の場所に液体の搬出を制御したい場合は液体遮断機で制御するのではなく、排水溝の方を自動化すると液体の移動分のラグがないので便利です。注意点しては排水溝がOFFの状態だと液体はその場にとどまり続けてしまうことです。ボイラー室内の排水溝を制御するときなどは周りは水の沸点である100度を超えています。長時間そのままの状態ですとパイプと液体とが熱交換をしていずれは蒸発して破損してしまいます。そのため、行き止まりにするのではなく、絶えず流れ続けるような配管にする必要があります。

 

・蒸気タービンの台数

この構成は500度の蒸気は蒸気タービン1台につき吸気口は1つまでしかを扱えません。つまりフル稼働しても1台当たり400g/sです。過熱蒸気噴出孔の噴出量は活動期と休眠期も含めた平均噴出量は500~1000g/s。仮に最大平均噴出量の1000g/sの場合、蒸気タービン2台では絶対に吸いきれず蒸気は溜まっていく一方になってしまいます。逐次発電ではその分吸引できる量は減るので十分に吸いきれるような台数を設置しておきましょう。

蒸気タービンを増設する場合は下図のように蒸気タービンを2台増やすごとに低温側のボイラー室を1つ準備すればOKです。液体クーラーが2台になると消費電力が重なるのが気になる場合は配管が少しごちゃごちゃしてしまいますが片方のボイラー室の熱を移す形にすると1台で済みます。

<蒸気タービン3台の構成例>

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<蒸気タービン4台の構成例>

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・金アマルガム製の液体クーラーで対応

低温側のボイラー室は蒸気タービンの発熱量の都合で大体140度前後で安定してきます。そして金アマルガム製の液体クーラーのオーバーヒート温度は175℃。いける!

・・・と思いきや、金アマルガム製は熱容量が小さく、熱伝導率は低いのが特徴。その結果、設備自身の温度上昇速度に対して周りへの熱の放出の影響が小さいため、液体クーラー自体のピーク温度は高くなってしまいます。蒸気タービンを4台以上に増やした場合には蒸気タービンの合計の排熱量も大きくなり、連続稼働時間が長くなるのでオーバーヒートが特に起こりやすいです。

液体クーラーの台数を増やすのも1つの手ですが、下図のようにサイクルセンサーを液体クーラーにANDゲートを介して突っ込んで、連続稼働時間を強制的に均一化することである程度解決できます。

また、蒸気タービンの吸気口を機械式ドアで制御して、冷却効率を上げるのも手です。

もちろん原油や石油の量を増やしたり、熱交換プレートを増やすなど熱容量を上げるのも効果的

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ここまでごちゃごちゃするなら鋼鉄製でいいやってなってきます。

 

<あとがき>

今回はここまで。この構成では噴出された蒸気をそのまま吸えるので貯めすぎてしまってどうにもならない!というのが起こらないところが好きです。しかし貯めすぎると結局断熱材を使わない限りはどんどん熱漏れしてしまうのでやはり貯めすぎはダメ。

 

蒸気タービンの仕様範囲内で逐次発電は実現しているのですが、液体クーラーの分だけやはり電力は減ってしまいます。実際の発電量はチューニング無しで蒸気タービンの数×720W。消費電力は液体クーラーが蒸気タービンの数1台当たり11%くらいなので132W。大体18%が発電経費になっています(チューニング時には蒸気タービンの発電量が1080W程度になるので12%とそこそこ改善)。

トータルで見れば十分な黒字なのですが、やはり効率は上げたいものです。蒸気タービンを自己冷却をして液体クーラーの消費電力をカットしてしまうこと次はめざしたいと思います。