liquid-phaseのブログ

足湯で疲れをふっとばす(鉄板激うまギャグ)

研究炉周りの仕様やらのメモ② 出力する熱量の観測編

研究炉お勉強その②です。

前回は設備動作の基本仕様を調べましたので今回はどれくらいの熱量が出るのかを調べていきたいと思います

前回は下記にて


 とりあえず研究炉について検索してみると・・・非常に大規模な構成ものが多いですねぇ。


 いきなりこれを真似してみても正直何が何だかわからない気がします。

 とりあえずは研究炉のみを密閉された空間で1cycle稼働させてどれくらいの熱量が出るのかを観察したいと思います。

 そして燃料と冷却液の条件を変えるとどれくらいの影響があるのかというのも掴みたいですね。

 

実験1

 というわけで実験です!なるべく単純な構成で研究炉のみ!

 冷却液は蒸気タービンの排水を想定して95℃の水を外部から絶えず入れます。

 ちなみに赤枠部分が投入口になっているので自動掃除機で外から斜めにねじ込んで濃縮ウランを搬入できるみたいです。

 

 とりあえず稼働開始!しばらくすると核廃棄物蒸気がモリモリ出てきます!

 

・稼働中の様子見

研究炉のステータスを覗いてみる

赤枠の上側がストック側の濃縮ウラン。(max120kg)

下側が実際に消費されて加熱される濃縮ウラン。(max60kg)

 

 60kgから0.5kg消費するとストック側から消費側へ0.5kg移しているみたいです。

 

 前回のメモ①の方で少し学びましたが、ストック側にまで濃縮ウランがある状態が消費側が常に60kgを満たしていて、これがフル出力出来ている状態はこういう動きをしているですねー。

 

とりあえず1cycle経過したところで一時ストップ。濃縮ウランの消費量は10kg。

 

 このままだと稼働し続けてしまいますが自動化で止められないのですぐさま研究炉を解体してストップ。

 部屋内の蒸気を計算したところ使用した水は全部で95.7kgx30tile=2,870kg、温度は約380℃となりました。

冷却水の使用量は1cycleで約2,870kgということはざっくり平均5kg/s程度の水を使うってことですね。

 核廃棄物は同じような温度で濃縮ウランの100倍である約1,000kg。

 核廃棄物は比熱が7.44とかなり高いのでこちらもかなりの熱量ですね。

 

ざっくり熱量計算

仮に蒸気タービンを使って冷却する場合は95℃まで冷却することになるので、

・蒸気の方は約5,697kDTU/s(蒸気タービン6.5台分)

・核廃棄物は約3,534kDTU/s(蒸気タービン4.0台分)

はぇ・・・・すっごい・・・。

 

・ひとまずの感想

 とりあえず冷却液を絶やさず投入し続ければ急激に温度が上がってメルトダウン!なんてことは起きないってことが体感できました。

 分かってはいてもビクビクだったのでやはり百聞は一見に如かず。

 研究炉の気圧上限は150kgなので今回の構成の場合は次のcycleには気圧条件に達してしまいますね。減圧については今回考えない方向で。

 

実験2ー1

 続いての実験は「研究炉は濃縮ウランをドバっと入れると熱も凄い出るけど少量ずつ入れたならそれに合わせて出力も少なくしてくれるよー」というのを試してみます。

 先ほどは濃縮ウランをまとめてドバっと入れましたが、今回は濃縮ウランを1cycle分の10kgのみを投入して違いを見てみたいと思います。

 

途中経過

100sほど経過時点

実験1に比べ蒸気の出てくる量が少なく温度も低い!

 

1cycle経過

投入した濃縮ウランをすべて消費して停止しました。

・・・と思ったら内部に僅かに残ってますね・・・。どうやら250gを下回ると燃料切れとなるようです。

 

 部屋内の蒸気を計算したところ蒸気の量は7kgx30tile=計210kg温度は約290℃となりました。

 実験1の蒸気の量は2,870kg温度は約380℃なので文字通り桁が違いますね!

 核廃棄物は質量は先ほど同じく約1,000kgで、温度は蒸気と同じ290℃。

 

今回も熱量をざっくり計算。

蒸気タービンを使う場合の95℃まで冷却すると仮定すると

・蒸気の方は約285kDTU/s(蒸気タービン0.3台分)

・核廃棄物は約2,418kDTU/s(蒸気タービン2.8台分)

実験1の方は蒸気タービン計10.5台分だったので約1/3くらい?

 

 蒸気側の熱量の差は蒸気タービン6.2台分とかなりの差がありますが、核廃棄物側は質量は同じなので熱量の差は蒸気タービン1.2台分とそこまでないですね。

 

ここで一旦仕様の確認!

①研究炉は稼働中に-加熱用濃縮ウランを16.7 g/sのペースで消費し、加熱用濃縮ウランを毎秒100℃加熱する。

②この時加熱される濃縮ウランの量はmax30kgで29.5kgを下回るとストック分から30kgになるように補充される。(実験1の条件の状態)

③30kg未満の場合は消費量に合わせて加熱される濃縮ウランは減っていくが、質量に関わらず100℃上昇する(実験2の条件)

 

→②と③から濃縮ウランの投入量が少ないほど出力される熱量が減る。

ヨシ!理解した!

 

冷却液の使用量が減ったのはなぜか?

wikiによると

 「濃縮ウランが加熱されるとき、冷却液は常に熱交換される。冷却液は温度が濃縮ウランに追いつくたびに放出される。このとき冷却液が受けた熱量だけ濃縮ウランが冷却される。」

 ということらしいので

①加熱用の濃縮ウランの質量が小さくする

②濃縮ウランの加熱される熱量も小さくなる (熱量=質量x比熱 x 温度差のため)

③冷却液への加熱も減るので冷却液の温度上昇は緩やかになる

④冷却液の使用量が減る

ってことですね!濃縮ウランが少ないほど却液の影響がデカくなるってお話だ!

 

実験2ー2

 今度は濃縮ウランを30秒に0.5kgずつ投入して、計10kg消費の1cycle経過時点での違いを見てみます。稼働中の加熱用濃縮ウランの質量がさらに減るのでどれくらいしょぼくなるかを確認します。

 コンベアメーターで濃縮ウランを0.5kgずつに分割するようにしましてー

 タイマーセンサーでコンベアシュートの制御をONを1s、OFFを29sに設定!

 

 ヨシッ!分割できてるな!早速スタート!

 

0.5cycleほど経過時点

 目に見えてしょぼい!蒸気は未だに出てきていません!

初期の水30kgがまだ濃縮ウランの温度に達していないってことですね!


 そして濃縮ウラン10kg分を消費して1cycle経過時点。

排出された蒸気はなんと0回!

 内部には温度は330℃と濃縮ウランの温度に追いつきそうな水が30kgと核廃棄物も少し残っていますね。

 端数の分を少し処理して計算してみると核廃棄物は約1000kgで温度は238℃くらいになります。実験2-1と60℃ほど差がありますね。実験2-1との熱量的な差は蒸気タービン1台分くらい。

 

 実験2-1ともっと大きな差があるかと思ったので意外です。実験2-1の段階で冷却液の影響が十分に大きいためにそこまで差が出なかったのかな?

 

・ひとまずの感想

 ここまで影響があるとは思いませんでした。熱量自体は1/3程度になりますが、蒸気の量は100分の1以下?にまで抑えられるようになるので管理が非常にしやすくなりそうですね。

 計算していませんがこれなら蒸気タービン1台でもなんとかなるのかな?いくら核廃棄物の比熱が高くとも2台あればいけそう。

 放射線量は濃縮ウランの量に関わらず研究炉は稼働さえしていれば12000rad/cycleなのでradボルトの収集目的であればこの手段はかなり良さそうです。

 

実験3ー1

 続いての実験は「冷却水を絞ると濃縮ウランは熱を移しづらくなるので濃縮ウランの温度が高くなる。核廃棄物は濃縮ウランと同じ温度で質量100倍で生成される。そのため冷却水を絞ると濃縮ウランから冷却水に熱が移らなかった分が100倍されて排出される。つまりめちゃめちゃ増える!」っていうのを試します。

 実験1の方で冷却水は平均5kg/sを使用していたので今回は10分の1の0.5kg/sで行いたいと思います。

 

あ”ぁ"あ"あ"あ"困りますお客様ぁあ"あ"あ"ああ"!!!

 

 ものの50sほどでこの有様。流石にやりすぎてしまったようです。

気を取り直して5kgの半分の2.5kg/sで再スタート!

 

 無事にメルトダウンせずに1cycle稼働は出来ましたが核廃棄物が高温のために気体になっていますね・・・。

 

 見やすくするために研究炉を解体。見事に緑。。。そして温度は645℃にまでなっていました!

 

 核廃棄物は526.9℃で気化してしまうので余裕で超えていますね。そして液体に戻すには66.9℃まで下げなければならないという変わった物質。

そして熱容量に非常に大きな差があるのも特徴です。

 

 比熱は液体は7.44(DTU/g)/℃なんですが気体は0.265(DTU/g)/℃。

 つまり液体から気体になるときは温度はそのままで比熱は激減するので熱量が減ってしまうんです。

 かなり大きな熱容量で受け止めるような構成にしないといけません。

 

 というわけで初期条件を変えて再度実験。

 今度は95℃の核廃棄物を2tあらかじめ準備してからスタートします。

 

1cycle経過時点でストップ!核廃棄物の気化は起こってないですね。

 

すぐさま研究炉を解体して計測。多少の温度のムラがありましたが待つのも面倒なので参考までに。

 

蒸気の量は51.2kg x 30tile = 1536kg 温度は400℃

核廃棄物は初期の2000kgに生成された1000kgで計3000kg 温度は425℃
 今回も熱量をざっくり計算。

蒸気タービンを使う場合の95℃まで冷却すると仮定すると

・蒸気の方は約3,263kDTU/s(蒸気タービン3.7台分)

・核廃棄物は約12,276kDTU/s(蒸気タービン14.0台分)

蒸気タービン計17.7台分なので実験1の10.5台の約1.7倍の熱量ですね

 

実験3-2

 実験3-1では冷却液がフルの1/2の2.5kgで1.7倍。

 フルの1/5である1kg/sだとどうなるのか・・・?

 

 今回も同様に初期に95℃の核廃棄物を準備。その量は10t!(8tだと気化しました)

 

というわけでさっさと実験!

途中覗いてみると内部の濃縮ウランは2200℃近くまで加熱されてました。

2726.85℃でメルトダウンなのでまだまだギリギリは狙うことも可能なんですかね。

 

最終的にはこちら

 今回も結構熱ムラがあるので参考までに。

蒸気の量は31.6kg x 20tile = 632kg 温度は307℃

核廃棄物は初期の10000kgに生成された1000kgで計11000kg 温度は307℃

・蒸気の方は約933kDTU/s(蒸気タービン1.1台分)

・核廃棄物は約28,917kDTU/s(蒸気タービン33.0台分)

計蒸気タービン34台分となりました。

冷却水をフル投入比べ3倍を超える熱量!

 

・ひとまずの感想

 冷却水を絞るとエネルギーがすごい!

 しかしながら効率向上を目指すには核廃棄物が気化してしまわないように管理するのが非常に難しそうです。

 

今回のまとめ

 実際に動かしてみてだいぶ感覚がつかめてきた気がします。

とりあえず実験1~3までのまとめの一覧です。

(厳密には設備の初期温度や質量なんかも加味するべきなので参考値)

 

 実験2のように濃縮ウランをすこーしずつ投入する形にすれば結構小さな規模で運用が可能そうですね。熱処理施設を実際に設置したり連続稼働をしてみないとなんともいえませんが!

 逆に実験3の方向で熱目的の運用する場合にはその規模の大きさから熱の均一化と熱伝達の速さが課題になりそう。

 

次回は放射線量について事件していきたいと思います。